現場
うちは3人しかいない。現場は50人工だった

この記事の要点
- 3人しかいない会社に、標準50人工の現場が来た。工期は2週間。
- 足りない14人工を毎日に割り振り、段取りで削って36人工で終えた。
- きつさは隠さない。「もう辞めたい」と声に出た2週間だった。
「やれる業者が、御社しかいないんです」
元請けの担当者が代わったばかりだった。その最初の相談が、これだった。
計算しても、届かなかった
岩手県金ヶ崎町の分譲地、第14期の造成。請負500万円。標準的な積み方で見積もれば、50人工の現場だ。
人工(にんく)というのは「1人が1日働く量」の単位のこと。50人工なら、10人でやって5日かかる。
うちは3人しかいない。工期は2週間。
しかも雨は降る。段取りだけで終わる日もある。実際に手が動く日数は、カレンダーより確実に減る。
どう計算しても、届かなかった。
それでも受けた
うちには、頼られたら断らないという決めごとがある。
かっこいい話に聞こえるかもしれない。でも実際は逆だ。断らないから、考えるしかなくなる。無理な数字を渡されたときだけ、人は本気で頭を使う。
14人工を、毎日に割る
足りないのは14人工。
これを「気合いで詰める」と考えた瞬間に、現場は壊れる。だから、割った。
14人工を、2週間の毎日に割り振る。1日あたり、およそ1人工。それを3人で分ければ、1人あたり1日の3分の1。
そこまで小さくすれば、もう気合いの話ではなくなる。どこで手が止まっているかを探す話になる。
- 材料をどこに下ろせば、明日の朝いちばんで手が止まらないか
- 誰がどの順で動けば、待ち時間がゼロになるか
- 今日やらなくていい仕事は、どれか
- 一度で決まらない作業は、どうすれば一度で決まるか
うちは会社の名前からしてこれだ。当たり前を、因数分解する。ALDECO=アルゴリズム×デコンストラクト。現場を「そういうもの」として飲み込まず、いったんバラして組み直す。
それでも、きれいごとでは終わらなかった
朝7時に現場に入る。暗くなっても照明をつけて積んだ。終わるのは夜8時、遅い日は11時。会社に帰り着くのが22時半から23時。
足の裏が痛くて、立っていることすらきつい日があった。
「もう辞めたい」と、実際に声に出た。
それを持たせたのは、集塵機だった
そのときに交わしたのが、この約束だ。
「この現場をきれいに終わらせたら、みんなであれ買おう。」
新しい集塵機が欲しかった。それだけの話だ。
でも、ブロックを積みながらその話をして笑っていた時間が、たぶん一番きつい時期を持たせてくれた。
終わった日は、何も感じなかった
2週間が終わった。合計36人工。想定より14人工少ない。
その日、感動はしなかった。淡々と片付けて、道具を積んで、帰った。
「やったな」が来たのは、次の日だ。朝起きて、体が痛くて、それでじわっと来た。達成感というのは、そういう来かたをするらしい。
そしてこの現場のあと、大型物件の依頼がはっきり増えた。「あそこは3人で回す」という話が伝わったんだと思う。無理な数字を一度返しておくと、次に来る話が変わる。
うちが探しているのは、こういう人
きつくないとは言わない。言えない。
その代わり、きつさを根性で処理する会社にはしたくない。50人工を36人工にしたのは腕力じゃなくて、頭だ。だから「頭は使わなくていいから体を動かせ」という現場にはしない。
3人の現場では、1人が33%だ。100人の会社の1%とは、背負うものがまるで違う。しんどいけど、自分がいないと成り立たないという手ごたえは、そこにしかない。
返せるものは全部出す。給料の階段も、休みの数も、まだ足りていないところも含めて採用ページに数字で書いてある。
GENROKUみたいなアプリを自分たちで作っているのも、全部この延長線上だ。現場を楽にする方法は、誰も教えてくれないから自分たちで作る。
そういうやり方を面白がれる人と、働きたい。
よくある質問
- 未経験でも、こういう現場に入れますか?
- 入れます。ただし1年目からブロックを積ませることはしません。まずは段取りを見る側にまわってもらいます。うちは技術を「目(気づく力)・頭(段取る力)・手(形にする力)」に分けて教えるので、最初は目から鍛えます。
- 毎日こんなに残業があるんですか?
- いいえ。この現場は特別で、こういう山場は年に何度もあるものではありません。アルデコの年間休日は今年の実績で110日。当初は「3年で120日」と宣言していましたが、前倒しして来期から125日にします。求人票にもそう書きました。
- 人数が少ないと、きつくないですか?
- きついです。隠しません。ただ3人の現場は、1人が全体の33%を占めます。自分がいなければ成り立たないという実感は、100人の会社ではなかなか手に入りません。
